抹消登記 まずは自分でやってみよう!
住宅ローンを完済しても、そのままでは抵当権は消えません!!!
住宅ローンの完済、おめでとうございます。
長年毎月コツコツと弁済されて来た甲斐がありましたね。
まずは自分を褒めてあげましょう!
しかし、、、これで終わりではありません!!!
残念ながら住宅ローンを完済しても、自動的に抵当権が抹消される訳ではないんですね。
おそらく、金融機関から住宅ローンを借り入れた際に設定された抵当権を抹消するための書類が郵送されて来たと思います。
その書類を用いてあなたご自身で抵当権の抹消手続きをする必要があるんです。
抹消せずにそのまま放置してもすぐに問題になることはありません。
でも将来自宅を売却する時には必ず抵当権を抹消しなければなりませんし、その時に抹消となると、書類の差し替えや万が一抹消書類を紛失したりすると、余計な手間とコストが掛かることになってしまいます。このまま放置していると、あなたが亡くなった後に、相続人(子供達など)が苦労することにもなりかねません。
よって、すぐに抹消することをお勧めします。
金融機関からの書類の中の案内文書にも抹消登記をする専門家として司法書士に依頼する様に記載があるかも知れませんが、司法書士に依頼するとなりますと実費以外に報酬を支払わなければなりません。
それ程高額という訳ではありませんが、おおよそ約1~2万円くらいは掛かるでしょうか。
ではそどうすればいいか?話は簡単です。
自分でやってしまえばいいんです!
それほど難しくありませんので、まずはご自身でチャレンジしてみてはいかがでしょうか。もしご自身でやってみて難しいと思った段階で司法書士に依頼しても遅くはありません。このHPを見ていただければ、簡単に抵当権を抹消するための書類を作成する事が出来ます。
それでは、一緒に抵当権抹消登記の申請書を作成して行きましょう!
とその前に、一番簡単な方法を先に言っちゃいます。
金融機関から送られてきた書類を持って、法務局に相談に行くことです!
法務局では職員が抵当権抹消登記の作成方法を教えてくれますので、その場で申請書を作成し管轄法務局が同じであれば、そこで登記申請すればそれで終了です。
とは言え、これではあまりにも不親切ですので、もう少し説明しますね。
まず、法務局は日本全国にあります。
不動産の所在ごとに管轄が決まっていますが、相談はどこでも受け付けてくれますので、近くの法務局をHPで検索しましょう。
登記相談は予約制になっていますので、まずは予約を入れる事からスタートです。
コロナ禍の影響で相談業務を中止している法務局もありますので、詳細は法務局に問い合わせて下さい。
法務局は役所ですので、土日祝日を除く平日、月曜日から金曜日の午前8時30分から午後5時15分の間開庁しています。
その内、相談業務は、午前9時30分から午後4時までのところが多いようです。
予約が取れたら、法務局に行く前に、法務局に持参するものを準備しておきましょう。
法務局のHPはこちら → http://houmukyoku.moj.go.jp/homu/static/kakukyoku_index.html
【注意】法務局では手取り足取り教えてくれる訳ではありません。申請書の作成方法を教えてくれるだけですので、申請書の作成は全て自分自身でする必要があることに、注意が必要です。
また法務局は平日しかやっていませんので、普段お仕事をされている方は、わざわざ休みを取って法務局に出向かなければなりません。
法務局で予約が取れたら、持参した方がいいものは以下の通りです。
【必ず必要なもの】
・金融機関から送られてきた書類一式
全て持って行きましょう。
・お認印
抹消登記の申請書に押印する時に使います。実印に限らず認印で構いませんが、いわゆる、シャチハタは不可です。
・お金
抹消登記には不動産1つにつき1,000円の登録免許税という税金が掛かります。
例えば、土地・建物1つずつであれば、合計2,000円になります。マンションの場合もう少し掛かる場合もありますが、大体は数千円で済みます。収入印紙で支払うことになりますが、これは法務局で購入可能です。なお、住所変更登記や氏名変更登記をする場合は、同額の登録免許税が掛かります。
・物件の登記簿謄本(全部事項証明書)
皆さんが所有している物件(土地や建物)がどういう内容の土地・建物で、所有者が誰か記載された書類のことです。昔は手書きでしたが、現在はパソコン打ちで作成されています。原本は薄い緑色のA4版サイズで、右上に『全部事項証明書』と書かれてあります。
登記簿謄本の見本はこちら。
古いものでも構いませんし、写しでも問題ありません。
手元になければ、法務局で手数料を払えば取得できます。(1通 600円)
【場合によって必要になるもの】
・返信用封筒と郵券(切手)
登記が完了したら、もう一度法務局に出向いて登記完了書類を受け取るか、自宅宛てに郵送してもらうか、どちらかになります。
自宅宛てに郵送してもらう場合は、切手を貼った返信用封筒を準備することになります。封筒のサイズは、通常は角型2号(いわゆる角2封筒)を使用することが多いですが、書類が入ればいいので、大きさに決まりはないようです。切手は通常は簡易書留分を貼付します。通常なら50g以下でしょうから、120円(定形外郵便物)+300円(簡易書留)=420円の切手を貼付しておけば問題ないと思います。
後で法務局に出向いて書類を直接受け取る際は、身分証明書と申請書に押印したものと同じ印鑑を持参しましょう。
・住民票や戸籍の附票、戸籍謄本など
登記簿上の住所と現在の住所が異なる場合、例えば不動産購入時の住所地から現在の住所地へ引越しされた等あれば、原則として抹消登記の前提として住所変更登記も申請する必要があります。登録免許税は抹消登記と同じく、不動産1つにつき1,000円です。
その住所変更登記(正式には、所有権登記名義人住所変更登記)に住民票や戸籍の附票が必要になります。
婚姻や離婚等で苗字が変わった場合も同様に、氏名変更登記 (正式には、所有権登記名義人氏名変更登記) が必要です。
住所変更登記・氏名変更登記については、こちら。
ここからは、自分で登記手続きをする方法を詳細に解説していきます。
では一緒に、登記申請書を見て行きましょう。
金融機関から送られてきた書類と物件の登記簿謄本(全部事項証明書)、それと法務局のHPで公開されている登記申請書を基に説明しますので、該当箇所を印刷してお手元にご準備下さい。
登記申請書のひな型は、こちら。http://houmukyoku.moj.go.jp/homu/minji79.html
15)抵当権抹消登記申請書がそれにあたります。
ますは、法務局のHPに詳細な説明がありますので、それをご一読下さい。それで十分理解出来た方はそれに従い登記申請書を作成しましょう。これ以降、読む必要はありません。この後の へ飛んで下さい。そこでは、具体的な登記申請書のセッティング方法を解説しています。
【登記申請書の作成方法】
1.【登記の目的】は、【抵当権抹消(順位番号後記のとおり)】と書きます。
2.【原因】は、金融機関から送られてきた書類の中に記載があります。
【解除】【弁済】【放棄】【主債務消滅】といった原因が考えられます。日付も記載されていると思われます。原則、あなたが住宅ローンを完済した日になります。金融機関側で鉛筆書きしてくれている場合は、ボールペン等でなぞりましょう。
例:【抵当権解除証書】という書面があって、その中に、例えば【令和3年10月15日、解除します。】とあれば、原因は【令和3年10月15日解除】ということになります。
3.【権利者】はあなたのことです。住所、氏名を記載しましょう。登記簿謄本(全部事項証明書)に記載されている住所・氏名をそのまま記載して下さい。例えば、【大阪市中央区備後町四丁目1番3号】なら、一言一句そのまま記載します。【4-1-3】といった省略はしない決まりになっています。
また、登記簿謄本(全部事項証明書)に記載されている住所・氏名と現在の住所・氏名が一致しない場合(例えば、引越しをした場合や婚姻により苗字が変わった場合)は、現在の住所・氏名を記載して下さい。
この場合は、別途、住所変更登記や氏名変更登記が必要になります。
住所変更登記・氏名変更登記については、こちら。
4.【義務者】は、金融機関になります。ここは、金融機関から送られてきた書類の中の【委任状】という書面の記載をそのまま書き写して下さい。会社法人等番号という12桁の番号も記載します。
委任状の見本は、こちら。
5.【添付情報】や【登記識別情報(又は登記済証)を提供することができない理由】欄はそのままにしておいて下さい。
6.登記申請日を記入しましょう。【令和3年11月15日申請】といった具合です。ここの日付は法務局へ登記申請する日ですので、法務局へ登記申請書を持参した日、もしくは登記申請書を郵送する場合は、郵送した日付を記入しましょう。管轄法務局も記載します。HPから管轄法務局を調べて、例えば【大阪法務局 北出張所】というように記載します。
法務局は、〇〇法務局と〇〇地方法務局があり、その中で支局と出張所に分かれています。
こちらもHPを見れば分かります。
法務局のHPはこちら。 http://houmukyoku.moj.go.jp/homu/static/kakukyoku_index.html
7.【申請人兼義務者代理人】は、あなたのことです。【権利者】と同じ様に、現在の住所・氏名を記載します。名前の横に、あなたの印鑑で押印します。認印で構いませんが、いわゆるシャチハタは不可です。【連絡先の電話番号】に電話番号を記載します。自宅に固定電話がない方は携帯番号でも構いません。
8.【登録免許税】は、不動産1つにつき金1,000円掛かります。例えば、土地と建物が1つずつなら、金1,000円×2で、金2,000円になります。
注意が必要なのが、マンションです。
マンションの登記簿謄本(全部事項証明書)の見本は、こちら。
登記簿謄本(全部事項証明書)の【表題部(敷地権の目的である土地の表示)】部分を見て下さい。そこの【①土地の符号】がいくつありますか?
【①土地の符号 1】だけであれば、土地は1つで、マンションのあなたの部屋(建物)1つと合わせて合計2つになりますので、登録免許税は、金2,000円です。【①土地の符号 1 2 3】と3つあれば、登録免許税は金4,000円になります。あなたの部屋(建物)で1つ、敷地権(マンションの底地のことです。)の数は【①土地の符号】から判断します。
9.【不動産の表示】は、登記簿謄本(全部事項証明書)を見て書き写します。
戸建ての場合は、土地と建物を記載します。マンションの場合は、ちょっと特殊で大変です。見本の網掛け部分を記載例のように記載しましょう。
戸建て(土地・建物)の登記簿謄本(全部事項証明書)の見本はこちら。
マンションの登記簿謄本(全部事項証明書)の見本はこちら。
順位番号も登記簿謄本(全部事項証明書)に記載されています。
登記簿謄本(全部事項証明書)の中の、【権利部(乙区)】を見て下さい。その中に今回抹消すべき抵当権の内容が記載されています。
【添付書類】
金融機関から送られてきた書類の中で、登記に必要なものは以下の通りです。
1.解除証書や放棄証書、弁済証書などの登記原因証明情報
解除証書や放棄証書、弁済証書などの書類のことを、登記手続上、登記原因証明情報と呼びます。日付は原則として、住宅ローンを完済した日になります。不動産の表示欄には、申請書と全く同じように記載しましょう。不動産の表示の代わりに物件の表示と書かれていることもあります。受付番号を記載しなければならない場合もありますが、それは謄本の見本で言いますと、【権利部(乙区)】の抵当権の【受付年月日・受付番号】を記載します。管轄法務局の記載が必要な場合もあります。
解除証書の見本はこちら。
2.委任状
受任者欄には、あなたの名前を記載します。住所はなくても構いません。委任状自体の日付は登記申請日で構いませんが、登記原因証明情報の日付はそれとは異なる場合もありますので、ご注意下さい。
委任状の見本はこちら。
3.抵当権設定契約証書などの契約書
4.登記識別情報通知
相続登記 まずは自分でやってみよう!
司法書士等の専門家に依頼すると、当然費用(報酬)が掛かります。依頼内容にも拠りますが、おおよそ6万から15万円でしょうか。相続登記を自分ですれば登録免許税等の実費以外は無料で済みます。まずは、自分でやってみましょう!
とは言うものの、抵当権抹消登記に比べると、難易度は格段に上がります。法務局で相談出来ますが、平均4,5回は通わないといけないと言われています。よって、自分で相続登記が出来るのは以下の様な方になります。
1.平日、法務局に行くことが苦にならない方
2.向学のため、自分で相続登記をしてみたい方
3.司法書士等に支払う報酬を節約したい方
相続登記が戸籍集めを初め、ある程度の時間を掛けないと難しい登記です。それに対して、報酬を支払ってでも司法書士等の専門家に依頼した方がいいと思う方は、HP等で比較的報酬の安い司法書士を探すことをお勧めします。ある程度の情報を知らせると、大体の登記費用は教えてもらえると思います。